近年、退職金制度がない会社が増えています。
転職サイトをみていて退職金がない会社が散見されるということで退職金がない会社はやばいのかどうか疑問になっている方がこの記事を読まれているのではないでしょうか?
この記事では退職金がない会社について、以下の点を中心に詳しく解説していきます。
- 退職金がない会社で働くメリット・デメリット
- 退職金がない会社でもキャリアを築く方法
- 退職金制度がない理由や背景
- 退職金がない会社で働く際の注意点
退職金がない会社で働くことを検討している方は、ぜひこの記事を最後までお読みいただき、参考にしてください。
退職金がある会社でもやばい?注意するポイントを解説
この章では、退職金制度がある会社でも、以下の2点に注意する必要があるので、順に解説していきます。
- 勤続年数がどれくらいでいくらになるのか
- 雇用形態の違いで額が変わるのかどうか
勤続年数がどれくらいでいくらになるのか
勤続年数によって、退職金受給額が大きく異なる場合があるので、勤続年数が長ければ長いほど、多くの退職金を受け取ることができます。
以下の表で、大学卒は22歳、高校卒は18歳で入社し、同一企業に定年退職するまで勤務した場合の退職金をまとめましたので参考にしてください。
大企業※1 | 中小企業※2 | |
---|---|---|
大卒 | 2,230万4,000円 | 1,091万8,000円 |
高卒 | 2,017万6,000円 | 994万円 |
※1資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上
※2従業員数は50人以下から300人以下まで、資本金は5,000万円以下から3億円以下
※厚生労働省(中央労働委員会)「令和3年賃金事情等総合調査」と東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」を参照
雇用形態の違いで額が変わるのかどうか
正社員とパート・アルバイトなど、雇用形態によって退職金制度の内容が異なる場合があります。
正社員の方が、より充実した退職金制度を設けているケースが多いので、退職金を重視する方は、正社員での採用なのかどうかを押さえておくとよいでしょう。
退職金制度があっても支給額がいくらになるのか
会社によって異なるので、就業規則や賃金規則を確認する必要があります。
というのも、短期離職や早期退職をする方は、思っていた金額が受け取れないということもあるので、勤続年数によってどれくらいの金額が受け取れるのかも確認しておきましょう。
事前にシミュレーションなどを活用して、自分がいくらくらいの退職金を受け取れるのか確認しておくことが重要です。
退職金がない会社でも働くメリット3選!
退職金がない会社でも、以下のような3つのメリットがあるので、希望する会社に退職金がなくても、メリットを感じられるのかどうか検討の材料にしてください。
- 月給が高く設定されている
- 老後の資金計画が立てやすい
- 退職金の手続きなどが必要ない
順に解説していきます。
月給が高く設定されている
退職金制度がない会社は、人件費を抑えるために、給与を高く設定している場合があります。
この背景には、短期での転職を前提にキャリアアップのために就職するということを想定して募集しているということもあります。
そのため、気になる方は希望する会社へ問い合わせするというのもひとつの手です。
老後の資金計画が立てやすい
退職金がない分、老後の資金計画が立てやすくなるので、退職後にかかる生活費を把握し、必要な貯蓄額を算出しやすくなります。
資金計画として、iDeCoやNISAといった投資を積み立てていくといった対策をファイナンシャルプランナーとともに決めていくことをおすすめします。
退職金の手続きなどが必要ない
退職金がない会社であれば、退職時に退職金の手続きをする必要がありません。
給与が高い会社であれば、給与に退職金が含まれているという考え方もできるので、書類の提出や手続きに時間を割く必要がなく、スムーズに退職できます。
退職金がない会社はやばい?デメリットを2つ紹介!
退職金がない会社で働くことには、以下のようなデメリット2点について順に解説していきます。
- 老後の生活資金を自分で準備する必要がある
- 会社を辞めた際にまとまったお金がもらえない
老後の生活資金を自分で準備する必要がある
退職金がないため、老後の生活資金は自分で準備する必要があり、退職金制度がある会社に比べて、貯蓄や投資の負担が大きくなります。
早くから準備しておくことで、ゆとりあるセカンドライフを過ごせるでしょう。
夫婦2人であれば、月35万円、60歳からの平均余命で考えると約3,700万円が必要といわれています。
公的年金もしっかりと確認し、ゆとりあるマネープランを立てておきましょう。
会社を辞めた際にまとまったお金がもらえない
会社を辞めた際に、まとまったお金がもらえないという点はデメリットです。
退職金制度がある会社であれば、退職時にまとまったお金を受け取ることができ、次の就職活動や起業などに役立てることができます。
一方で、退職金がない場合には、資金を貯めるなどといった準備期間が必要です。
退職金がない会社でキャリアを構築していく方法って?
退職金制度がない会社でも、キャリアを築いていくことは可能なので、以下にその方法について2点紹介します。
- 長期的キャリアの計画を立てていく
- キャリア開発やスキルを身につけていく
長期的キャリアの計画を立てていく
退職金制度がない分、老後の生活資金を自分で準備する必要があります。
そのため、長期的なキャリアプランを立てることで、収入をアップさせて貯蓄や投資への余裕を作っていくと良いです。
どういった業界・職種に就くか、就職する業界や業種ではどういったスキルが必要かを考え、どういったステップでキャリアアップしていくかを検討してください。
キャリア開発やスキルを身につけていく
長期的なキャリアを描いたら、自分の強みやスキルを磨き、市場価値を高めることが重要です。
資格取得やスキルアップセミナーへの参加など、積極的にキャリア開発に取り組みましょう。
退職金がない会社は本当にやばい?退職金制度がない理由や背景を解説
退職金制度がない会社が増えている理由は、いくつか考えられますが、この章では以下の2点について解説していきます。
- 働き方の変化
- 社会保障制度の変化
働き方の変化
近年では、終身雇用という概念が崩壊し、転職が当たり前になっています。
また、正社員以外にも、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員など、多様な雇用形態が生まれました。
企業は、それぞれの状況に合わせた人材を雇用することができるため、終身雇用制度にこだわる必要がなくなりました。
社会保障制度の変化
公的年金の制度が改悪され、老後の生活資金を自己責任で準備することが求められています。
というのも日本は世界でもトップクラスの高齢化社会に突入しており、年金制度を支える現役世代の負担が急増しています。
年金支給額は抑制され、受給開始年齢も引き上げられるなど、企業にとって、退職金制度を充実させる必要性が低くなっているというのも原因のひとつです。
退職金がない会社はやばいのかまとめ
退職金制度がない会社で働くことは、一概に良い悪いとは言えないので、メリットとデメリットを理解した上で、自分に合った働き方を選択することが重要です。
退職金制度がない会社で働くことを検討している場合は、以下の点に注意しましょう。
- 老後の生活資金を自分で準備する
- 会社を辞めた際にまとまったお金がもらえない
- 解雇された際に退職金がもらえない
退職金制度は、老後の生活資金を準備する上で重要な役割を果たしますが、退職金制度がない会社で働く場合には、給与が高いなどといった特徴もあります。
給与を投資や貯蓄に回すといった対策を行うことで、退職金がないというデメリットを上回る会社も存在します。
退職金がない会社だからといってやばいという訳ではありません。
自分に合った働き方を選択するために、メリットとデメリットをしっかりと理解し、慎重に判断することが大切です。